H25.6.14


14時を過ぎた頃
「帰って包丁でやったる」と
おじいさんが言い出したので
まあ帰っても誰もいませんがとか
そうですねとか
聞いたり言ったりしてはみたものの
あまりの暑さのせいか
ぼくの振る舞いに
面倒だという気持ちがにじみ出ていたのか
「黙れ 歩いて帰る」と
床に座り
膝行りながら
玄関へと向かっていく
いよいよ面倒だなという気持ちを
どう沈めようかと
思案しているあいだにも
おじいさんは
玄関の靴箱の開き戸を
側臥位の状態で
開けようとしている
ただ
あまりに距離が近すぎて
開き戸を引いても
からだに当たり
なかなか開かない
何度か繰り返すうちに
いよいよ苛立ちは募り
ここを先途とばかりに
思い切り引くも
勢い余って仰向けに転がり
驚いて手足をバタバタさせた瞬間
おじいさんと目が合った
どちらからともなく
力の抜けた笑いが起きたので
これはいけると
お部屋に帰りましょうと
言うか言わないかのときに
「どうもすいませんなあ
ぼちぼち歩いて帰らせてもらいますわ」
と単に言い方が柔らかくなっただけ
大阪 36度 猛暑日の昼下がり