H25.6.25


右斜め前のソファに
座っているおじいさんが
肘掛けを持ち
なんとか立ち上がろうと
お尻を浮かしている
ぼくは目の前の
おばあさんの
もう何度目か分からない話に
相づちを打ちながら
いつ手を支えに行こうか
そのときをじりじり待っている
いつもよりも
おじいさんの右足が
内側に入りすぎていることが
気になってしまい
思わず席を立ってしまう
案の定おじいさんは
「なんでもないんや」と
深くソファに座り直してしまう
「そうですか」と言い
ぼくも席に座り直すと
すぐにおじいさんは
お尻を浮かしはじめる
一つ深呼吸をして
さっきよりもゆっくり
ソファに向かおうとするも
やはりおじいさんは
「なんでもないんや」と
座り直す
ぼくは座る
するとおじいさんは立つ
ぼくが立つと
おじいさんは座る
5回目にぼくが立ったとき
おじいさんと目が合って
いたずらっぽさが
その目に浮かんで
おじいさんと
ぼくのあいだに
見えないシーソーが
あらわれた